カナダ:同性愛を公表しているエリック・デュエム氏、ケベック保守党を率いて州議会選挙に出馬
 (CC BY-SA 3.0)](/news/2026/0928-quebec-conservatives-eric-duhaime/cover_hu_b09d1abbae871a75.webp)
2026年9月、カナダ・ケベック州の国民議会選挙に向けた選挙戦が活発化する中、ケベック保守党(Parti conservateur du Québec, PCQ)は同性愛を公表している57歳のエリック・デュエム党首(Éric Duhaime)のもとで選挙戦を展開している。デュエム氏は、カナダの政治史において州および連邦レベルを通じて保守政党を率いる初の公然たる同性愛者の指導者である。カナダのメディア「Gay Globe 」の選挙分析によると、ケベック保守党は同性愛者の権利擁護を掲げつつ、現代のジェンダー・アイデンティティ政策に対しては批判的な姿勢をとるという、右派としては特異な公約を掲げて選挙に臨んでいる。
デュエム党首率いるケベック保守党の選挙公約は、経済的自由主義、減税、政府支出の削減、医療制度における民間活用と分散化、そして州の自治権拡大を柱としている。市民権の分野においてデュエム氏は、同性婚や養子縁組を含むゲイおよびレズビアンの権利平等はケベック州においてすでに確立された不可侵の権利であると強調し、党としてこれらや中絶の権利を見直す意図はないと明言している。一方で、運動団体への公的資金支出や子ども向けドラァグイベントの公的支援には反対し、「アイデンティティ・ポリティクス」を批判。教育現場における親の権利を重視し、未成年者に対する性別適合手術の禁止や思春期ブロッカー使用における親の同意義務化を求めている。
デュエム氏の姿勢に対しては、カナダ社会やLGBTQ+コミュニティ内で多様な意見が存在している。支持者は、彼のリーダーシップが同性愛嫌悪のない中道右派の保守主義の可能性を示し、イデオロギーよりも個人の自由を尊重していると評価する。一方、人権団体やトランスジェンダー支援団体からは、学校での包括的教育やトランスジェンダー青少年の医療ケアを制限することが差別を助長するとの批判が出ている。世論調査機関およびQc125の議席予測によると、ケベック保守党は7〜15議席を獲得する見込みであり、州議会において同党初となる正式な議員団を結成する可能性がある。
エリック・デュエム氏は1969年モントリオール生まれ。モントリオール大学で政治学を専攻し、国立行政学院(ÉNAP)で修士号を取得した。Action démocratique du Québecや連邦議会で政治顧問を務めたほか、モロッコやイラクでの国際開発支援にも従事。2010年代には人気ラジオ司会者・論客として知名度を高めた。2017年の著書『同性愛の終わりと最後のゲイ』(La fin de l’homosexualité et le dernier gay)で同性愛を公表し、権利平等の闘いはすでに達成されたと主張した。2021年4月、党員の約96%の支持を得てケベック保守党党首に選出された。
これまでに「ウラニア」は、カナダの女子刑務所におけるトランスジェンダー女性収容をめぐる訴訟 やオタワでの国立LGBTQ2+記念碑「サンダーヘッド」除幕 などカナダの動向を報じたほか、ベルリン市議会でCDU院内総務に指名されたシュテファン・エヴァース氏 やドイツのための選択肢(AfD)から再選されたフランク=クリスティアン・ハンゼル氏 など、各国の保守政党における同性愛者議員の動向を伝えてきた。


